御朱印を考える

昨年末から檀家さんと雑談してるときに「御朱印はやってるのか」と何回か聞かれることがあって、やってはいないが御朱印帳持って玄関に立たれたら帰れとも言えないのでそりゃあ書くけどあれはステルス兵器みたいなものでいきなりやって来るし、観光寺院なら観光してもらってる間に書けばいいけど田舎寺なんて見るものなんてあるわけもなく待たせちゃ悪いと思うから焦ってそうじゃなくてもへたな字が字なんだか模様なんだかわからなくなるし、これこのあと回る寺の住職に見られるのかよどんな罰ゲームだよ。「だからやってません」と力説したのだがわかって頂けたのかは不安である。

 

別の人から「ケーブルテレビでこの地域の御朱印特集してたけど出なかったね」と言われたがもちろん企画段階でお断りしたに決まってるではないか。正気の沙汰とは思えない。
 

酒見賢一「泣き虫弱虫諸葛孔明」(文藝春秋)

終わってしまった。全5巻。第1部を読んだ時にはかなり驚いた。キレながらのノリツッコミスタイルで語られる三国志というのは見たことが無かったので。浅草サンバカーニバルのような三国志はこの作者以外書けないよな。但し三国志というのは赤壁の戦い以降スタープレイヤーが一人ずつ退場して最後は孔明が五丈原で死んで終わるという物語上のっていうか歴史上の制約があるので酒見賢一の筆を以ってもそこは越えられなかったと思う。サンバがいつの間にかバラードに変わってる。とは言えすごい面白いので完結が残念です。

宮本輝「流転の海」新潮社

終わってしまった。完結編。帯によれば執筆37年だそうで忘れたころに新刊が出るのでその都度第一部から読み直さないと誰が誰だかわからないので大変だったが(たぶん都合8回は読み返している)楽しみでもあったのでなんだか寂しい。自分の生老病死を見つめる齢に第一部から再読するとしみじみしてしまう。主人公糖尿だし。

 

「何がどうなろうと、たいしたことはありゃあせん」という主人公の述懐が全9部を通して何度も繰り返され、無名の人々の生死流転が描かれる。傑作。

インフラとしての寺院

正月小学五年生の甥っ子が泊まりに来ててフダン犬と猫しかいないのでまーにぎやかなこと、野生のサルかおまえは。お年玉は何に使うのかって聞いたら「将来のためとかって謎の呪文で親に取り上げられちゃう」とのことなのでゲームソフトを買ってあげることになってツタヤへゴー。そしたらコイツゲームゲットした瞬間にトイレへ駆け込みゲロ吐いてんの。もしかしたら朝から具合悪かったの?え、夜から?なんで言わないの?「言ったらソフト買いに行けなくなるから」その執念がおじちゃん怖いよ。

 

で、小学生なんて飼った(じゃなかった)育てたことないのでこんな時にどうしたらいいのかわからんので同学年の子がいるイトコに電話したら速攻で「あ、そういう場合は隣市の小児救急です。電話番号は」って即答。常識なのか。子育てって大変そうである。子犬なら得意だが。

 

さっそく電話したら看護師さんが親切に指示してくださって大変ありがたかったわけだが、そのときに寺院だってこんな風に感謝されるようにしなきゃダメだよなぁってことを思ったのだった。インフラとしての役割にあまりに無自覚すぎるよねオレたち。微力ながら今年はがんばろうと誓う正月でした。(甥っ子は元気になって犬と遊び倒して帰りました。「春休みはいっぱい泊まるね」えっ、それはいかがなものか)

 

久しぶりの葬儀で戸惑う

2か月ぶりの葬儀依頼だったので法衣装着に手間取りました。このハカマのひもはどーするんだっけとか劇団ひとりを上演したあと読経するもなんというかノドが法事モードになってるのかいまひとつペース配分とかテンポとか調子に乗れず苦戦。ジャズばかり演奏してたのに急にクラシック頼まれたかんじといえばおわかりいただけるだろうか。

 

それでもなんとかお勤めし着替えてたら猫がにゃーにゃ―言うので振り向いたらコレ。キミが踏んでる布(の中身)は20万ぐらいするのでゲロ吐かないでね。

 

 

 

檀家は寺の所有物ではないよ

電話を取ったらいきなり挨拶もなし私が住職であるかの確認もなしに「〇〇さんの葬儀を引き受けたそうだけどウチの檀家だからっ」と大変激高された他宗派の某寺のご住職様からのクレーム。離檀して菩提寺が無いとのことなのでお引き受けしましたがと答えるも納得されず「若いヒトたちは菩提寺のこと知らないんだよっ」と粘られてすげー迷惑。若いヒト(娘たち)が勝手に決めたんじゃなく故人が生前奥さんと相談して決めたみたいですよ「〇〇さんはウチで総代やってたんだから檀家なんだっ」総代までやってくれた人に見限られたんスか、情けないスねとは流石に言わなかったけど。寺墓地じゃなく区の共同墓地だからお墓を人質にできないことも計算済みだったことも言わないけれど。

 

で、私がどうしたかと言えば葬儀屋さんを煽って突撃させました。遺族に絡まれる前に先制攻撃。「そんな失礼な態度だったんですか。許せん。ぶった切ってやる」いや、ぶった切らなくても。桃太郎侍じゃないんだから。「いえ、遺族を守るのが仕事ですから」頼もしい。

 

檀家は寺の所有物ではないよ。「信」が成立してない以上菩提寺と檀家の関係性は終了している。ウチの檀家だから布施するのがあたりまえ、寄付するのがあたりまえ、葬儀依頼するのがあたりまえとか思ってる人たちはそろそろ退場してほしい。だから檀家であることが罰ゲームのようになっちゃって忌避されるんじゃないか。その間隙を終活業者が狙って食い散らかし放題なんじゃないか。すげー迷惑だよ。

除夜の鐘報告

ウチの鐘付き堂の下だけ直下型地震来て倒壊してくれないかしらとか不謹慎なこと思いながら迎えた大晦日。寒い中やりましたよ除夜の鐘。ブツブツ文句は言うが根はまじめなので去年から数日前から看板建てて告知するようにしたので結構若い人たちが大勢来てくれて盛況でした。茶菓子をいろいろ置いたのですがチョコレートが一番人気。「いま何発目ですか」とかときどき聞かれてもそんなの数えてるわけねーだろーがとか思いつつ「68です」とか適当なこと言うワタシであった。

 

「昇進試験がんばるぞー」とかそれぞれ抱負を叫びながら鐘付いてる酔っぱらった若者たちよ。たぶんその願いは煩悩として消滅しちゃってると思うぞ。

来世から謹賀新年